2020年9月19日に公開された映画『ヴィタリナ』。
この記事では、映画『ヴィタリナ』のあらすじ(ネタばれナシ)・みどころ・解説・感想をご紹介します。
映画『ヴィタリナ』の予告編
≪映画『ヴィタリナ』・予告編≫
出稼ぎに行った夫がいつか自分の元に戻ってくることを待っていた女性・ヴィタリナは、夫が危篤状態という知らせを受けてカーボ・ヴェルデから夫の働くリスボンにやってきます。
しかし、夫はその地で3日前に亡くなっており、既に埋葬されていました。
ヴィタリナはフォンタイーニャス地区に存在する、夫が過ごしていた部屋に留まって過ごしていくうち、自らの波乱に満ちあふれた人生について語り始めていきます。
映画『ヴィタリナ』のあらすじ(ネタバレなし)
ヴィタリナはアフリカのカーボ・ヴェルデで暮らしながらも、ポルトガルのリスボンで働く夫・ジョアキンが彼女の元へいつか帰る日を信じて待っていました。
ある日、彼女は夫の危篤の知らせを受けて急遽リスボンへと向かいますが、彼女が到着した時に夫は既に亡くなり、葬儀は終わっていました。
夫の面影をなぞるかのように、彼女は移民街のフォンタイーニャス地区に位置する、夫の部屋へと行き着きます。
そして、その部屋に留まることを決意します。
やがてヴィタリナは、路地で暮らす人々や廃れ果てた教会の司祭と対話を交わしながら、自らの苛酷な人生について少しずつ語り始めていきます
映画『ヴィタリナ』の解説
上映時間は130分です。
本作品はロカルノ国際映画祭で最高賞の金豹賞と、女優賞をダブルで受賞しました。
一人の女性の苛酷な人生を描いた本作品は、多くの女性たちの心を掴み、リスボンにて公開後の1ヶ月で2万人の動員を記録しました。
本作品の主人公、ヴィタリナを演じたのは、作中の彼女と同名のカーボ・ヴェルデの移民女性、ヴィタリナ・ヴァレラです。
ペドロ・コスタ監督は過去の代表作『ヴァンダの部屋』から一貫し、それから20年を経た本作品もフォンタイーニャスを舞台に撮影をしています。
映画『ヴィタリナ』のみどころ
この作品の見どころは、鮮烈な光の闇のコントラストによって描き出されていくヴィタリナの存在感です。
夫がかつて住んでいた部屋の暗がりのなかで、深い陰影の中から立体的に浮かび上がっていくヴィタリナのまなざしは、彼女が体験してきた波乱に満ちた人生を観る人に強く雄弁に訴えかけてきます。
また、ヴィタリナを演じるのは彼女と同じ名前の移民女性のヴィタリナ・ヴァレラであり、現実とフィクションの狭間で語られていくヴィタリナの言葉には圧倒されます。
ドラマでありながらも、現実と地続きの物語を観るものに示している作品です。
映画『ヴィタリナ』の感想
カーボ・ヴェルデの移民女性を主演にキャスティングした作品『ヴィタリナ』は、移民街フォンタイーニャスを撮り続けてきたペドロ・コスタ監督の新たな原点となる作品です。
光と闇によって浮かび上がるひとりの女性の人生の物語に耳を傾けてください。
映画『ヴィタリナ』の登場人物・キャスト
ヴィタリナ・ヴァレラ
ヴェントゥーラ
マヌエル・タヴァレス・アルメイダ
フランシスコ・ブリト
マリナ・アルヴェス・ドミンゲス
ニルサ・フォルテス
映画『ヴィタリナ』のスタッフ
監督:ペドロ・コスタ
製作:アベル・ヒベイロ・シャーベス
脚本:ペドロ・コスタ ビタリナ・バレラ
撮影:レオナルド・シモンイス
編集:ジュアン・ディアス ビトル・カルバーリョ