映画『風の丘を越えて/西便制』あらすじ(ネタばれナシ)・みどころ・解説・感想

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1993年4月10日に公開された映画『風の丘を越えて/西便制』。
この記事では、映画『風の丘を越えて/西便制』のあらすじ(ネタばれナシ)・みどころ・解説・感想をご紹介します。

映画『風の丘を越えて/西便制』の予告編

≪映画『風の丘を越えて/西便制』・予告編≫

近代化される前の貧しい時代の韓国・全羅道、韓国伝統芸能の“パンソリ”を披露しながら旅を続け日銭を稼ぐ芸人の一家がいました。
芸の道を究めようとする厳しい義父の指導の中で、娘は耐え続けるも、弟は決別し脱走しました。

後年、大人となった彼はかつての姉の消息を求めて訪ね歩くが…。

厳しい運命に翻弄される家族の運命を描いた作品です。

映画『風の丘を越えて/西便制』のあらすじ(ネタバレなし)

舞台は1960年代の韓国です。
一人の青年がある女性を思い出し過去を振り返ります。

村から村へ韓国伝統芸能の“パンソリ”を披露しながら放浪する親子旅芸人。
一家の長であり芸の道一筋に生きてきた父は、娘が歌を、弟が鼓を究められるよう、容赦ない試練を課します。
休む間もない修行の日々の中、頑迷な父と貧しい暮らしに耐える事が出来ず、ついに弟は失踪します。

残された娘は飲食を断ち、弟の帰りを待つが、そんな彼女に対し、「お前には、”恨(はん)”がない」として、父は常軌を逸した行動に出る。
やがて成長した弟は、かつての父と姉の行方が気になり、方々を訪ね歩きます。

映画『風の丘を越えて/西便制』の解説

韓国国内では当初限定的に公開されたものの、口コミから興行を大きく伸ばし、結果韓国人の5人に1人が見たといわれるほどの大ヒットになりました。
また本作のヒットが韓国の伝統芸能に対する関心を高め、「西便制シンドローム」という流行語まで生み出したそうです。

日本国内では韓国の溝口健二と称されている巨匠イム・グォンテク監督は本作で上海国際映画祭最優秀監督賞を受賞、主演女優のオ・ジョンヘは同じく主演女優賞を獲得しています。

さらに日本国内でも銀座テアトル西友で記録的ロングランを達成するなど、国際的にも大きく評価された作品です。

映画『風の丘を越えて/西便制』のみどころ

作中で最重要のキーワードは「パンソリ」です。
これは唄い手とプク(太鼓)奏者の二人で奏でるソロオペラのようなもので、韓国の伝統芸能として知られているものです。
タイトルの西便制(ソピョンジェ)もその流派の名称から来ています。

ヒロインのソンファを演じるオ・ジョンヘは幼いころからパンソリを学んでおり、作中の歌パートは全て吹き替え無しで演じているというから驚きです。
本作の熱演がきっかけで、韓国で一重瞼が再評価されるようになるほど、社会的影響が大きかったそうです。

更に物語を通じて、”恨(はん)”という、韓国特有の文化について知ることができます。
日本人には少し理解しがたいのですが、韓国人の考え方を理解するにはとても参考になる映画です。

映画『風の丘を越えて/西便制』の感想

近年の韓国映画といえばアクションやスリラー、ラブロマンスなど派手な作品が良く取り上げられますが、この映画はそういった作品群とは真逆に位置する作品です。
派手な演出はないものの、生身の人間の歌声が作り出す熱量は大作映画にも全く負けていないと思います。
一度映画館でみてみたい、そう鑑賞者に思わせる作品だと思います。

映画『風の丘を越えて/西便制』の登場人物・キャスト

ユボン役:キム・ミョンゴン
ソンファ役:オ・ジョンヘ
ドンホ役:キム・ギュチョル
ナクサン役:アン・ビョンギョン
ドサン役:チェ・ドンジュン

映画『風の丘を越えて/西便制』のスタッフ

監督:イム・グォンテク
脚本:キム・ミョンゴン
原作:イ・チョンジュン
製作:イ・テウォン
撮影:チョン・イルソン
音楽:キム・スチョル
照明:チャ・ジュンナム
編集:パク・スンドク

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